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台湾|食材:拜拜文化と年貨(上)

ビジネス通訳|日英中(台湾)逐次通訳:食文化・食材


台湾は日本と同じ、稲(米)に基づく食文化が土台となっています。そして遠い昔の暮らしは生活に密接している農業の他に人々の信仰心の現れとなっている宗教や儀式がその社会を作っていきました。

台湾では神霊や先祖に祀ること、祈る行事や行為を「拜拜」(バイバイ)といい、現代日本と違い旧暦に基づいてだいぶ頻繁に行うもので、個人だけでなく企業全般もルールに沿って行うものもあります。

その都度、お供え物として色々なご馳走をテーブルに並べて神様やご先祖に捧げられてきました。今日はそのお供え物の、ほんの一部だけご紹介いたします。

旧暦に沿ってほぼ毎月何かしらと「拜拜」があるものですが、近代ではだいぶ数を減らされてきました。その中でもちろん一番大きく代表的な節目は旧正月の年越し、いわゆる「春節」です。

昔は現代社会のような有給という概念はないので、旧正月にならないと基本社会全般に渡る大型連休のような現象は起きません。そして旧正月の春節中にだけ、主婦は厨房を休むことは許されて実家に戻ったりできます。

春節中は親族がお互い挨拶に訪問したりお寺参りしたりする時期なので、それらの活動のためにも事前に必需品を揃えて年越しできるようにしなければなりません。その必需品(食材を含む)を「年貨」(ニェンホゥオ)と呼びます。

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台湾|拜拜と年貨:米糕・年糕・金紙

台湾では目出度い行事には「赤色」と決まっています。もともと中国文化の決まりですが「赤」は魔除けの力があるとされて、無事年越しできるため(「年」とはもともと魔物の名だそうで、除夜にその魔物に食われずにやり過ごせたら年越しできるという伝えから)や、結婚式で嫁が婿の家に入るまで「赤」をつけた物を盾にしたり貼ったりする必要はあるのです。また、同じ理由でお寺などあらゆるところに「赤色」が用いられているのです。そうやって最終的に「赤色」が吉祥の象徴とも捉えるようになりました。

上記の写真に写っているのは左上が「米糕」右上が「金紙」そして下が「年糕」です。続いて下記の写真は左上が「紅龜」左下が「發糕」右下が「壽桃」右上が「金紙」となっています。

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台湾|拜拜と年貨:紅龜・發糕・壽桃

どれもお供え物ですが「金紙」(ジンズゥ)は食べ物ではありません。神様やあの世へ贈るお金です。燃やして贈ります。他の「糕」(ガオ)つくものや「壽桃」と「紅龜」はネーミングから見た目まで縁起物とされている台湾伝統食品です。「壽桃」を除き従来全て米中心で作られています。まさに台湾の稲(米)文化を表しています。

米糕(ミーガオ):台湾の伝統おこわ(もち米)みたいなものです。豚の脂など味付けたり蒸したりして腹持ちがいいです。由来は定かではないが、古来からあり農家の暮らしから生まれた食べ物のようです。春節や供物に起用されるのは、おそらく日持ちがいいからだと思います。

發糕(ファガオ):「糕」という漢字はもともと「ケーキ」の意味もあります。台湾の伝統カップケーキです。色は赤、白、黄色の三種あります。従来はもち米で砂糖や麹など発酵して作られています。揚げたり蒸したりするとポカッと表面が四つのセグメント「スプリットトップ」のように開くので「開口笑」(カイコウシャオ)とも呼ばれます。まるで人が口を開いて笑うようなので、新しい一年が順調で笑顔のあふれる年となりますように、との願いを込めてお供え物として用いられます。それに「發」(ファ)という漢字と発音は、繁盛を意味するのでこれもまた縁起のいいものです。

年糕(ニェンガオ):旧正月に食べる餅で一年成長したという意味「年高」(「年糕」と同音)です。日本のお餅と同様に熱を入れないと硬くて美味しくないので基本フライパンなど油ひいて焼いたり煎ったりして調理してから食べてください。少し衣をつけて軽く揚げて食べるのも美味しいです。

紅龜(ホングェイ):米で作られた生地で亀を形どったスイーツです。日本では団子に近いような硬さです。中には餡が入っています。亀は長寿の印で、丸い形は「輪」と「和」を両方意味します。冠婚葬祭や人生の節目と祝い事によく登場する伝統食品です。この赤い色は本来紅麹で出されるものですが現代の大量生産ではやはりフードカラーが中心です。そのままでも食べれますが、熱を入れた方がより柔らかくなります。台湾では北部が蒸し派で中南部は煎り派という説はあります。

壽桃(ソウタォ OR ショウタオ):桃の実をかたどった「壽桃」の桃まんじゅうです。桃は、昔から邪気を祓い不老長寿を与える植物として親しまれてきました。西遊記では孫悟空がパクパクと壽桃を食べてしまい、仙界で問題を起こしたエピソードや、ギリシャ神話では神々の飲み物「ネクタル」などが桃ジュースの「ピーチネクター」の語源になっていたりして、いずれも桃は神々が口にするめでたい食べ物の位置付けとなっています。そのままでも食べれますが、蒸して食べると一層作りたての美味しさが味わえます。

以上、小麦粉中心の壽桃を除き、従来はほとんど米で作られてきたものが分かります。最近小麦粉に変わってきている商品は多いらしいですが、台湾の伝統食品を見れば台湾文化の土台には稲(米)があるということが見えます。米は主食だけでなく色んな食材や料理に使われたました。機会があれば是非一度ご賞味してみてください。

台湾の食文化・食材に興味ある方へ:ご参考に ]

台湾の食文化・食材(2020年記事まとめ)は、別途 note の「食文化・食材の棚」というマガジンに保管しております。その棚(マガジン)には他にもオーストラリアの食文化・食材(2020年記事まとめ)や、他の台湾食文化・食材関連記事やレポートの抄録を置いてあります。宜しければどうぞ、そちらもお気軽にご参照ください。

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Brenda Chen