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台湾|食文化:最新型呼び出しベル

ビジネス通訳|日英中(台湾)逐次通訳:食文化・食材


飲食店などでよく見かける「呼び出しベル」がシステム的に取り入れ始めたのは、おそらく日本ではないかという印象を持っています。

ファミレスや居酒屋で導入されている、システム化にされた呼び出しチャイムやベルなどが登場する前の遠い昔は、受付に置いてある金属製の鈴を鳴らすものは、確かにもともとヨーロッパからきたものかもしれないが、それを電気とつないでシステム化して飲食店のスタンダードにしたのは、やはり日本ではないかと私は思います。

実際、いまだに欧米ではレストランなどでこれがスタンダードのような風習はなく、また、アジアにおいても日本ほど飲食業のスタンダードまでにはなっていません。その理由はおそらく飲食業界におけるレストランなどに対する考え方、文化と習慣にあります。

まず、欧米ではマクドなどのファーストフードが現れるまで、レスストランは食事だけでなくウェイターをはじめ、その店全体のサービスを楽しむ場所でもありました。いわばそこで食事するというあらゆる要素を一つの体験として味わい楽しむための空間や場所です。それ以外のところは、例えばカウンターサービスのバーや、サービスを要しないテイクアウトとなります(昔はまだモールにある大型フードコートみたいなものはなかったのです)。

それから、欧米ではもともとレストランで食事する行為は、家族や知人と美味しいお酒とともに食事を楽しむためのもので、最低 2時間をかけてじっくり行うものと認識しています。それはどういうことかというと、コース料理ではなくても、どこかコース料理の名残があり、その感覚でじっくりと段取り踏んで味わおうとするため、中華料理などのようにいっぺんに出されると店に急かされるように感じてしまい、お客様に怒られます(料理がいっぺんに出されば、急いで食べないと冷めてしまうのもあり、忙しい食事となってしまいます)。なので、ホールスタッフは実にそれぞれのテーブルにいるお客様の進み具合を見ながらキッチンと連携しながら料理を出すタイミングを図っているのです。

それはどういうことかというと、お客様に呼び出されるまでお客様を放置したり様子をわからなくなったりする場面が非常に少ないということです。もしくはお客様が呼び出そうとしてそのウェイターがなかなか見つからなかったり、注意を引けなかったりすることはまれです。なので、呼び出しチャイムや呼び鈴は要りません。大前提として良いレストランは良いウェイティングサービスを伴う、お客様から呼び出すまでもないという感覚だったのでしょう。

一方、アジアは違いました。台湾は昔からある外食というのは屋台や街角にある小吃店(タパスのような簡単な惣菜をあれこれ瞬時に作る庶民的なお店)でそもそも入店時に注文しお客様を待たせることはないほどの高速スピードで料理が出されます。たとえ何か問題があったり追加注文あったりしてもそんな大きい店ではないため、大声で叫んだらすぐに対応してくれます。しかも、これらの小吃店で働いている人たちは皆まるで脳内にインテルが入っているようなパソコンや電卓のように記憶がよくて頭の回転が素早いのです。こんな小吃店にはレジなんか置きません(要りません)。

日本は逆にファミレスが現れるまで、気軽に家族全員や知人などで外食を楽しむような文化はなかったのではないかと思います。社会人などは居酒屋、学生などは定食屋や食堂みたいなところ、たまに皆でお蕎麦屋やうどんなどを食べに行く、そんな感じだったのではないかと思います。小さな居酒屋、定食屋や食堂、蕎麦・うどん屋ならば台湾の小吃店と同様に基本ウェイターサービスなんての文化はなかったのです。即注文、即出し、大声、速い、などなど。

さて、ではどの時点で呼び出しベルの需要が出てきたのであろうかというと、外食が「エンタテインメント」(遊び)の最も一般的な手段や選択肢の一つとなり、それによって外食の回数と人口が倍々的に増えてきた時代です。要するに「有給や休日に遊びに出かける」概念が老若男女に浸透し、外で食べることが一般的な楽しみの一つでそれが目的で出かけることは暮らしの一部となる時です。もっというと、平日でも自分へのご褒美や気分転換にオフになったら外食に行くことが多くなった時代です。

それによってファミレスのような大きい店舗が増え、限られたホールスタッフの数で大勢のお客様に対してミスなく対応することが難しいのと、注文を間違えたりせず精算が効率よく正確にできるようにするため、呼び出しベルをはじめ、オーダー端末を用いた「オーダーエントリーシステム」(またはオーダーコールシステム)をまずチェイン店から導入されたみたいです(ウィキペディア参照)。

さてと実はこの呼び出しベルで最新型(日本も台湾もほとんど見ない)ものを昨年台南の奇美博物館を訪ねた際に館内2階にあるカフェで体験してとても印象深く残りました。

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上記の写真にあるように手のひら、指くらいの高さのブロックで四面を持っていますが、それぞれの面に(この店では)「ORDER(注文)」「WATER(水)」「TAKEAWAY(テイクアウト)」「CHECK(お勘定)」が書かれています。自分が要望するサービスに当てはまる面を上向きにして横に倒せば店舗やホールスタッフが装着したリストバンド型のデバイス(見た目はほぼ腕時計と同様)に振動とディスプレイ表示され、お客様の要望が伝わりそれに対応したサービスを持ってテーブルに来てくれるわけです。

これは台湾では「翻轉式服務鈴」と呼ばれているらしく、日本に戻ってきてから調べてみましたが、日本は「デジベル」と呼んでいるようです。2016年頃に開発されたばかりで呼び出しベルの最新型です(従来のコールベルとの違い及びコールベルの背景についてはこちらご参照ください)。

音を鳴らさず、声を出さずにお客様はスタッフを呼び出すと同時に自分の要望が伝わる、しかもデザインがお洒落でスマートで普段は下記の写真のようにこんなインテリアみたいな飾り台に置かれています。デジベルのホームページによればタブレットで呼び出し対応履歴も確認できるようになっていて、ブロックに記載されるリクエスト内容はカスタマイズできるそうです。

まだ日本の飲食店で見かけたことはないが、コロナでスタッフとお客様の間の会話や接触を減らす目的にも役立つし、タブレット不慣れの高齢層のお客様でも要領が掴みやすいから他の店と違う個性を出したい場合は一つのいい手段ではないかと思います。

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Brenda Chen