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珈琲栽培|沖縄:農園環境と実態

ビジネス通訳|日英中逐次通訳:珈琲栽培(沖縄)


沖縄の珈琲栽培フィールドワーク報告第三弾というわけですが、以前二回に渡りその歴史的背景、民間〜市町村〜県など産学官民における現状、そして気候地理の環境についてサマリーを書かせていただきました。今回は珈琲農園内の環境、運営形態と事情(課題)という角度からもう少し深掘りしていきたいと思います。

前回の記事(珈琲栽培|沖縄:民間〜市町村〜県(下)にも少し触れましたが、現在沖縄県内で珈琲栽培しているところは、本島以外には石垣島、西表島、久米島、宮古島など挙げられます。珈琲が育つ環境要素には、適宜の温度差、日陰、風通しなどが良いとされているため、これまでは大半が本島の北部いわゆる山地帯であるヤンバル地区で栽培されています。

その結果、必然に農園の位置や地形によく共通しているのは山の腰あたりに位置しているのと、風通しのいい谷間が農園内にあることです。ただ、この「風通しのいい谷間」はかなりハードルが高く、まず栽培面積が限られてくるのと日陰が多すぎて湿っぽくなったりすることも多いので、バランスをどう取るかが一つの悩みです。一方、谷間を諦め平地で育てば今度課題となってくるのは直射日光の対策、日差しを浴びすぎるとコーヒーチェリーが直射日光により焼いてしまったり木が弱まったりする傾向はあります。かと言ってしっかりしたカバーを上と周りをつけたりしすぎると今度は畑の風通しが悪くなり元気で健康な木になりにくいです。とにかく知恵と工夫が必要です。

一つの農園においても山の中の地形なので、箇所によって環境特徴が微妙に変わったりします。一概に同じ要領でケアするわけには行きません。農園のそれぞれの箇所にある一本一本の木をクライアント(お客様)としてみて対応した方が良さそうです。

農地は自家所有のものが珍しいようです。貸しが大半を占めています。どこの過疎地も一緒ですが農家の後継者不足で空き畑が増える傾向があり、それを珈琲栽培に貸しているということです。しかし、農家や農業につてのない個人がそう簡単に良い畑を見つけて貸してもらえるわけではありません。現地にいる方々も基本知り合いなどを通して借りられるようになっています。本来は農協や役場など行政レベルで荒れ畑の活用や農家後継者問題をしっかり取り組めば、より一貫して管理できた情報や紹介が提供できるようになる気もします。

珈琲の木は、まだ赤ちゃん(苗)の時はペットボトルみたいな細長い容器に培養し、ハウスで管理したりする手法はあります。大きく( 50cm ?)なれば露地に移して育ちます。記憶は曖昧だが 70 cm も大きくなればちょっとした風や大自然の環境には負けないそうです。人間界でいうと小学校 4年〜6年生くらいになれば外である程度いろいろ晒しておいた方が良さそうです。

木と木の間にも適度な間隔を入れる必要があります。これもアバウトな記憶ですが、前後左右でほぼ 1m 程でした。珈琲の木は大きくなると一人が両手広げての長さ近く枝が横に増えたり伸びたりします。沖縄は台風のこともあるので、できれば縦長に成長しすぎないようにさせながら、横に伸びさせ実を増やせればこれも一つの可能性かもしれません。

台風にもたらされる脅威は強風だけでなく沖縄の場合は台風によって海水、いわゆる塩分を含んだ雨が台風が去った後もコーヒーの木に付着する塩害のことです。それを考えれば何かの仕組みで効率的に一気にそれを洗い流すことが必要となります。沖縄コーヒーチェリーの収穫シーズンは基本 12月〜2月がピークです。夏の台風にダメージを受ければ収穫が直撃されます。

コーヒーチェリーは一気に熟すものではないので大抵 2 〜 3ヶ月に渡り少しずつバラバラと熟していきます。そういう意味では他の農作物と違って収穫時期の採集作業における人手不足の問題はそれほどないと思います。ただ、採集した後コーヒー豆として出荷するまでいろいろ処理工程はあるので、しかもこの工程こそ、それぞれの農園の特色を決める要の一つでもあるのでかなり神経や工夫を要する作業ではないかと思います。そういう意味では収穫シーズンはこれが理由で手が離せなくなると思います。

特に従来のコーヒー産地と違い、大量出荷が目的の農園ではないので、台湾もそうですが沖縄のコーヒーもただの農作物として出してもたいそう儲けが出ないので、付加価値が必要です。もちろん今多くの人に挙げられている第六産業はその一つですが、自分の農園から出荷する豆は他のとどう違うのか、従来の農園よりもさらに最後のエンドユーザー目線と専門知識が必要となります。それはすなわち、焙煎する人と飲む人の世界観と価値観です。さらにグローバルスタンダードの墨付が得れば、値段の幅も跳ね上がります。そのための国際基準に達したプレミアム豆の意味でもあります。

カカオの世界だと「Beans to Bar(ビーントゥーバー)」です。沖縄や台湾でコーヒー栽培する場合は消費者が飲む味はもちろんのこと、焙煎のことも理解しないと自分が生産した豆にあった処理法を生み出せません。それが生み出せないことはすなわち自分の農園(工場)から看板商品をはじめ、魅力的なな商品ラインアップを打ち出せないということになります。なので、沖縄や台湾みたいなところで、珈琲の世界で農園メインでやるということは本当にすごいことです。壮大な情熱、行動力と探究心がなければ成せない道に違いありません。

コーヒー好きな方へ:ご参考に ]

沖縄の珈琲栽培(2020年記事まとめ)や 珈琲道具アレコレ(2020年記事まとめ)など、他のコーヒー関連記事やレポートの抄録を別途に note の「珈琲の棚」というマガジンに保管しております。宜しければどうぞ、そちらもお気軽にご参照ください。

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Brenda Chen