通訳よりも「橋渡し」と「コミュニケーター」
意外にも同じ会社や組織においても言葉、背景、価値観や思想の壁が変わらずに存在しています。いや、同じ会社や組織だからこそ「同感している」「理解できている」の先入観に無意識にとらわれ、相手を理解する努力を怠り、客観的な視点を持ちにくくなる傾向が起こりやすいといえましょう。
「交渉」「商談」といったコミュニケーションは、本当に濃密な空間です。双方的にこの会で大事に相手に伝えて受け取ってもらうものがある故、完全に受け身という姿勢がないのです。
立場が強弱に分かれるケースは、心理ゲームな要素まで入ってしまいます。
ただ、完全に優勢にいて話し合いにならないという前提の交渉や商談は存在しないはずです。何故ならば、その場合はそもそもこの会話の場も与えられないし、たとえ会話が始まったとしても、すぐに終わるか、別のアジェンダに持っていかれてしまうからです。
お互いに持ち帰れる、先につなぐ何かをのぞみ、こういう場を設けられたのです。そして、世間でいう「win-win」の中身の定義は、ここからうまれてきます。
母国語でもそれをうまく話を繰り出せるのか分からないこの濃密な空間や場で、正直にいうと、ただ外部者として言葉を変換していく通訳など、役立つところか、邪魔になる場面は多々あります。
そのため、過去 20 年間で私の通訳経験の多くは、実にこういう需要からうまれました。一般の翻訳会社から派遣される通訳者よりも、社内のことを色々知っていて、日本人の考えと大事にしていることを理解しつつ、海外の視点と価値観もよく分かっているハイブリッドの国際的な社員として。
もちろん、通常の翻訳会社からの通訳者もできないことはない、事前に熱心に状況を把握するための努力し、その場で語り手が放つ言葉自体よりも、その根源にある狙いを読み取り、時に通訳以外のコミュニケーションの手伝いとアドバイスや確認を行えばできるようになります。
が、おそらく通常はそんなことまではしないでしょう。一つは、翻訳会社としての品質と業務実行方法のシステム管理、もう一つは、正直な話、同じ通訳でもこの場合は大変しんどくなるからです。
中には、商談や交渉が破綻した場合は自分の責任になると危惧して、通訳自体ができなくなる人も出てきます。
そもそも、コミュニケーションのアドバイザー的な行為自体は、厳密にいうと通訳業務に入らないというところがあります。早い話、わざわざ自分のよく知らない組織や状態について商談の結果をそこまで気にしながら仕事する通訳者は少ないのです。
そういう意味で私は自分自身を「通訳者」と思ったことはあまりなく「橋渡し」や「繋ぐ人」「代弁者」や「コミュニケーター」というような感覚の方が近いです。
これからも、そういう位置付けで異なる個々と組織のつなぎ助っ人として役立つように活動し続けて参ります。
たくさん生きた言語が行き交う空間と場で、体を持ってそこに関わって参ります。
※ 通訳理念については「パートナーとしての通訳」もご参照ください。
※ 本サイトを立ち上げた初心や背景は「はじめに」よりご覧頂けます。
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ビジネス通訳|日英・日中・英中通訳:商談・交渉のウィンウィン |
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