ビジネス通訳|消化器内視鏡専門通訳|日英中トリリンガル
「日英中逐次通訳」は通訳の原稿もしくは内容の一部としてのセット依頼を除き、原則翻訳のみのご依頼をお断りしておりますが、表題通り今回東京にあるお得意様からのご依頼は日英中字幕における校正でした。
厳密にいうと「台湾繁体字(中国語)」の字幕をチェック・校正するお仕事でしたが、なんと原稿となっている文章はそれぞれ英語、中国簡体字(いわゆる北京語)と日本語の三つがあるのです(下記のようにエクセルシートにコラムとして並べていました)。
| 日本語字幕 | English Narration - Source language | 中国語字幕 | 繁体字 |
しかも「English Narration - Source language(英語 - 原稿)」記載しているにも関わらず、原稿確認している途中で気づいたのですが、どうやら中国簡体字は英語を原稿にしており、そして台湾繁体字は日本語を原稿にしているのです。さらに日本語と英語の内容には不一致が少しながらありました(翻訳ミスではなく完全に反映されていないもの)。
普通に考えると通常「簡体字(中国語)」が先に作成してある場合は、その後で追加された「繁体字(中国語)」をそれに合わすのがもっとも効率的で内容統一しやすいのですが、今回の繁体字はどうやら日本語をベースに訳されたもののようです。なので、同じ中国語でも実はかなり文面が異なりました。
理由はわからないのですが、校正者としてはまず全ての内容を精査して不一致の部分を記して、次に校正対象となる「繁体字」の内容チェックを行い、同じく気になる部分を記してクライアントにフィードバックしました。
そこからさらに面白い事象が起きました。
一回目の校正・確認でフィードバックした箇所に対して基本全部クライアントから OK 出されましたが、上記の四列の横にさらに二列が加わり、そこに下記のような内容となりました。
| クライアントの回答 | Google翻訳 |
なんと、校正対象である繁体字の文面をクライアント自身が Google 翻訳にもう一度日本語訳にして変な中身になっていないかと確認されたのです!
まず「English Narration - Source language(英語 - 原稿)」であるならば、これは全く無意味なことになるのと、たとえ原稿は日本語の場合でもそのまま Google 翻訳で訳しても書き手のスタイルや癖によって訳された文章の意味が通じなかったり、文章として成り立たなかったり、全く違う内容の文面になることもあるため、Google 翻訳から出されたものと別に考えた方がいいです。したがって、別物になった文章をもう一度 Google 翻訳に訳したら、それはもう何にでもなれて、確認の指標にはなれないのです。
と言いながらも、クライアントの不安でご自身が確認されたい気持ちもわかります。そこで「Google 翻訳では〇〇になっているが、XXにしてください」とクライアントが指示を出されているところに「すでにその内容になっています。Google 翻訳の間違いです。」と再確認の回答を返させていただきました。無論、上記のような Google 翻訳事情(実際)も説明いたしました。
この現象は矛盾のように見えても実際、よくあることなのです。翻訳を依頼されるご本人自身が確認したがるのはよくあります。もちろん、校正者が入っていない場合はこれを人情として捉えられます。「この翻訳者は本当にちゃんと仕事をしたの?私がそこまで英語(中国語)が読めないと思って、下手な仕事しているじゃないの(ならば次に使ってやらないぞ)?」とか。
しかし、校正者を外注して最終確認作業をさせる場合は、客観的な思考を持っているクライアントならば、どこかこの矛盾に気づくものかと思われます。それでもやってしまうのは、おそらく「直接に校正者の顔や実力を知らない」からくる「不信感」でしょう。
それを考えると、仕方ない自然な現象でもあるなと思います。したがって「Google 翻訳を使ってセルフチェックしないで」とは言いませんが、効率を考えるとプロの校正者に原稿を出される際に原稿と一緒に上記の「Google 翻訳列」とお客様のご懸念を予め記載して提出されることをお勧めします。
〜 ・ 〜 ・ 〜
日英中逐次通訳、MEC(医療従事者の英語指導)に関するご依頼、その他ご相談・お問い合わせはページトップにある「お問い合わせ」よりご連絡くださいませ。
皆様からのお便りと良きご縁を心よりお待ちしております。
