ビジネス通訳|日英中(台湾)逐次通訳:商談・交渉
建築会社に続き、今年に入ってからずっと興味のあった分野で初挑戦できたのが不動産関連の案件でした。
2012年から2015年まで、仕事で日本ではなく実家でもある台湾台北市で医療機器メーカーのアジア太平洋地区のプロジェクト・マネージャーとして在宅ベースで勤務していました。
2012年から2015年まで、仕事で日本ではなく実家でもある台湾台北市で医療機器メーカーのアジア太平洋地区のプロジェクト・マネージャーとして在宅ベースで勤務していました。
その時によく台湾の同僚に聞かれたのは、日本の不動産(物件)のことでした。
最初は「ええ?台湾人は日本の物件を買いたい?」と不思議に思いました。後にわかったのは、台湾(台北市)の不動産が高すぎて、一般人では一生働いても住む環境のいい家屋や土地を購入するのが難しいからでした。
一方、日本の不動産(物価もそうでしたが)は何十年も同じ価格帯に留まっているため、逆に他の国から見ると、今は手が届けやすく買い時です。
もちろん、言葉の壁や在留資格の問題が残るのだが、お金とやる気さえあれば、長期計画を立てていつか移住するのも十分可能なことです。たとえ本人が移住しなくても、投資目的とセカンドハウスを目的で、日本の物件を買うことは悪くない検討対象なわけです。
そんなわけだからか、いつしか台湾の大手不動産が日本におけるこの新規事業、いわゆるポテンシャル市場を売り出すべく、大々的に広告を出したり台湾現地で定期的に説明会を開催したりするようになったのです。
しかし、噂は聞いてるものの、実際はどんな人が日本のどんな物件を求めにやってくるのか、正直イメージができませんでした。中国にいる多くのお金持ちが節税や投資目的で、専門家や仲介業者に任せっきりで見たこともない物件を即決して買ったりするような顧客層はイメージできますが、そうでない場合はどんな人が遥々日本に足を運んで不動産屋を訪ねたり内見したりするのか、イメージできず興味はありました。
それを実際に拝見できたのは、この案件でした。
やって来られたのは、台湾高雄市で物流関連会社を営んでいる一家でした。土地勘がない分、案の定、打ち合わせ場所を間違えてそこで私が物件販売会社の代わりに電話でご案内して当日この商談を担当する方と一緒に入口でお客様の到着をお待ちしていました。
当然ながら台湾から自力でこの販売会社を見つけ出して、来日の日程を組んで言葉もわからないまま、遅れながらも自分でここに間違えても辿り着いたお客様は、ストレスフルな状態でした。なんとか到着した時点から安心して気持ちを安らいでもらえるように商談担当者よりも真っ先に声をおかけしました。
この時点で商談担当者ご自身も今日、どんなお客様がお見えになるのか、なぜか詳細を全くお持ちでなかったため、私もお客様の名前や何人でいらっしゃるのか、全く存じ上げていないままでお迎えしました。
打ち合わせ室にご入室いただき、そこからヒアリングをはじめ、商談に入りました。初めての不動産関連の案件でしたので、知らない言葉がところどころ出ました。いつものように両側に詳細を確認しながら、通訳を進めていきました。
なかなか台湾のお客様が求められる物件は、この販売会社に現在ないということも判明してきました。微妙な感じを残しつつも、せっかくいらしたので、お客様は是非唯一検討対象になる物件(まだ完成していない)の場所と環境をみにいきたいとおっしゃっていました。
しかし、現地についた途端、私がすぐにこの環境はお客様がお求めになられるものと違うとわかりました。お客様はすぐさまにその結論を商談担当者にお伝えになりました。
正直にいうと、このように海外から商談と内見にいらっしゃるお客様は、日本にいる平均的なお客様より予算が多く、判断も早く、お支払いもキャッシュ(!)で入金もびっくりするほど速いので、これ以上ない最高のお客様の訳なので、最も手厚く丁寧にお扱いし、長く良いお付き合いしていきたいものです。
にもかかわらず、土地勘がなく言葉もわからない海外のお客様が本日の商談場所を間違えて遅れて到着し、タクシーから降りられた時点から、商談室での談話のやり取りや、物件の下見も含め、全て「ええ?」と思うほど熱量がなく配慮も欠けているように感じました。もっといえば、私みたいな一般人が普通の一人暮らし用の賃貸部屋を探す時の、不動産屋さんの対応の方が丁寧と言えるくらいでした。
その不適切な対応な部分をなんとか通訳者として表現とコミュニケーション力でカバーして、結果は台湾から来られたお客様はいい物件に出会っていなくても「この担当者と会社からならば物件を買いたい」と思えるようにいい印象の中で商談が終了できました。
さらに、物件のある場所は私にとっても初めて行った場所(全員が商談場所からタクシーで移動しました)なのに、なぜか最後はこの販売会社から台湾のお客様の帰りを手配もせず、外注フリーランスの通訳である私に自社スタッフのように任せっきりになさいました。
私は同じく大阪駅・梅田駅方面だったので良かったものの、物件の位置から最寄駅までは道を知らないし、たとえ大阪駅に着いたところで、あんな人混みだらけなターミナルを土地勘なく言葉もわからない人達が容易に乗り換えられる訳ないだろうと、商談担当の方は思わなかったかなと、やはり腑に落ちないものがありました。
結局、私はGoogleマップに頼りながら、物件から最寄駅までお客様方をご案内し、大阪駅に着いたら御堂筋への乗り換えまでご案内しました。同じく台湾人というものもあって、道中は同郷として会話が盛んで、私自身も含めて全員非常に楽しく良い時間を過ごせることができました。
これを読んでいる日本の不動産・販売仲介の方がいらしたら、是非、海外から来られるお客様を大事にし、丁寧に扱って、良い関係を作って差し上げてください。なぜならば、長い付き合い(口コミも含めて)になってくださるような方々がほとんです。一回で購入して終わるような顧客層ではないからです。
良いお客様は、ご丁重にお扱いしましょう。
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